「声って、アニメですか?」
「ああ、まあ……端役です」
「端役でもいいじゃないですか!」
「あ、でも、もうすぐ配信されるゲームでは、大役を」
「ええぇぇっ、何それ、先に言ってくださいよ!」
ハジメさんはうつむいて、頭を掻いた。
苦笑いした口元と、そっぽを向いた大きな目。
イケメンだなー。
なのにドキドキしないなー。
失恋のひりひりだけで許容量オーバーだなー。
ドキドキなんてしてる余裕ないなー。
「ゲームの件は、大役すぎて、その……配信されるまで、自分でも信じられなくて」
謙虚なのか、自信がないのか。
そんな顔しないでよ。
あたしも余裕ないのに、はげまさなきゃって思うじゃん。



