「だから、ね?
私、1度でいいから人間になりたいの…。
地上を歩いたりしてみたいの。
水がなくても苦しくない。
そんな人間が羨ましい…」
私達人間は、
人魚が持ってる物とは反対に、
人魚は私達が持ってる物が羨ましいんだ。
「…わかりました。
いいですよ」
「本当?!!」
「はい。
ですが、あそこにいる…、
女の子の手を引いて
泳ぎ方を教えてる男にしか
近づかないでくださいね」
「…はは~ん。
その男の子が好きなのね~?」
「はぁ?!ち、違う!!!
私は、もうすぐ死ぬからあまり人とは
関わりたくないだけです。
あの男は関わりたくないのに関わってくるから
特別…と言うかなんと言うか…」


