それから舞台裏に戻って劇を見る。


沙奈達、馬鹿だなぁ。



足引っ掛けるとか、
全部蛍に教えてるから
蛍は引っかかって転んだりしないよ。





「じゃあ白雪姫、
僕達は食料を集めてきます。
待っててください」



「はい」





ここで真っ暗になり、
魔女姿の沙奈が森を歩くシーンに入る。



私はドレスに着替えて蛍とバトンタッチ。
ベールで顔を隠し、舞台に上がる。



作り物の家の玄関を
掃除してる演技をしてると、
黒いローブで全身を包んでいる沙奈が来る。

そして、今の白雪姫が蛍じゃなくて
私だと知らない魔女約束の沙奈が
丁度かじるところにカミソリを仕組んだ
リンゴを私に渡す。





「このリンゴはねぇ、
特別なリンゴなんだよぉ?

だから、是非この世で1番美しいと呼ばれる
白雪姫に食べてもらいたくてねぇ。

ほら、食べなさい?」