「そう。途中で探すのをやめる気にはならなかったそうだ。柱時計が鳴る時間が近づくにつれて、自分から旧校舎へ行きたいという気持ちが抑えられなくなるんだ」


「嘘だろ……」


海がそう言い、左右に首をふった。


栞が元気でここにいてくれれば、もう絶対に行きたいなんて思わないのに……。


「きっと、なにか特別な力がそんな気分にさせてたんだろうな。とにかく、先輩たちは毎日旧校舎へ向かい、男子生徒の幽霊たちが探しているものを一緒に探した。


だけど、何を探しているのかもわからない状況では探し物なんてできない。あっという間に時間は過ぎていき、一週間が経過した時だった……。


いつも通り旧校舎へ向かって探し物を手伝っていたのに、気が付けばメンバーの1人がまたいなくなっていたんだ。5人が4人。4人が3人。そんな風にどんどん数は減っていったんだ」


近藤先輩は深刻な表情でそう言った。


人数が減って行く……。


その情報にあたしは膝の上で自分の手をグッと握りしめていた。


次に栞のようになるのはあたしかもしれない。


そんな不安が一気に押し寄せて来る。


「時間が経てば経つほどメンバーは少なくなっていき、ついに先輩1人だけ残ることになってしまった」


「たった1人で旧校舎に行っていたんですか?」


健がそう聞いた。