☆☆☆

階段を上がると男子たち3人は栞の部屋の前に立っていた。


ドアに《栞》と書かれているから場所はわかっていたようだけれど、さすがに勝手に入る気にはなれなかったようだ。


渚があたしの前に立ち、ドアを軽くノックした。


「はい」


さっきと同じ返事がある。


「なんだよ、ちゃんといるじゃねぇか」


海がそう呟いた。


「栞、入るよ」


渚がそう言い、ドアをあけた。


ドアの中から見えた渚は、やっぱりテーブルに後ろ向きに座っている。


「栞、大丈夫か?」


ドアを開けたことで陽が真っ先に部屋に足を踏み入れた。


「昨日は悪かった。お前1人置いて……」


言いながら栞に近づいていき、言葉を切った。


目を丸くして栞を見ている。


「どうしたんだよ陽」


海と健が続けて部屋に入っていく。


栞の顔を確認した瞬間、海はその場に尻餅をついてしまった。


「うそだろ……」


健は青ざめた表情で栞を見つめている。


さすがにあたしたちのように悲鳴が上げなかったけれど、相当ショックを受けているようだ。


あたしと渚はもう栞の顔を見る事もできず、ドアの外から様子を確認しているだけだった……。