見ているこっちまで痛くなるような、重たい拳だ。


「16やそこらのガキがわかったような口聞いてんじゃねぇよ。お前ら親に食わせてもらってんだろうが!!」


未来の五十嵐孝はそう怒鳴ると、飯田アキラの手を引いてトイレから出て来た。


飯田アキラは怯えた表情をしているが、それでも事態は理解している様子で落ち着いている。


「君たち、未来から来たの?」


あたしたちを見てそう聞いて来た。


「あぁ。これを返すためにな」


五十嵐孝はそう言い、飯田アキラの手に腕時計のせた。


飯田アキラは驚いたように目を見開き、五十嵐孝を見つめる。


「そっか、そうなんだ……」


小さく呟き、飯田アキラはその腕時計を左腕にはめた。


2つの腕時計が1つに重なりある。


瞬間、瞬きをする暇もなく旧校舎はまた真っ暗になり、あちこちにホコリが被っている。


あたしたちが不気味に思っていたあの旧校舎だ。


そして、飯田アキラの体は見る見る大きくなっていき、五十嵐孝と同じ年齢の彼が立っていた。


「未来が……変わった」


陽は呟いた。