「サクラ、食べねーの?」 奏は私の様子に気づいたのか、少し心配そうに様子を伺ってきた。 「あ、えと。食べよっかな」 奏のメロンパンを買うのに必死で、自分のご飯を買い忘れていた。 仕方なく、奏に渡すはずだったメロンパンの袋を開けた。 奏はお弁当食べてるし、結局は渡せないからいいか。 一口、パクっとかじる。 口の中に広がる、パンなのに甘くて、匂いも広がる。 美味しい。 1人黙々と食べていると、 「……この匂い」 奏がボソリと呟いた。 栗川さんと話していた顔を、バっと私の方に向けた。