アキは突然後ろから抱きしめてきた。
『あの、私…っ』
“ずっと奏くんのことが好きだった…”
アキは意外と大胆な子だった。
今までにないタイプっちゃあ、そうだった。
自分でもよくわからない。
けど、俺はアキと付き合うことを決意したんだ……。
✻.
──コンコン
「サクラ、いる? 入るぞ」
俺たちは、親同士も仲が良くて、サクラのおばさんには合鍵までもらっている。
最近サクラの様子がへんだったから、部屋の前に来た。
サクラの返事も聞かず、俺は中に入ろうとした。
「…へ!? かな…待って!!」
でも、もう遅くて
「は、なんで……」
「ごめ…、ちがうから……っ」
中に入った俺は、驚いた。
だって…ふとんにうずくまって、慌てて顔を逸らしたサクラの顔は
……泣いていたから。