なんだかんだ言って、類くんとの話は楽しくて、気が楽になった。



でも……。



「サクラ」


近くで聞こえる、彼の声。


家の中に入ろうとしたとき、下を向いてて気づかなかった人影。



「かな、た……」


私を呼んだ彼の声は、もちろん隣の家に住む奏で。


奏に会えて、ドキっと胸が高鳴った。


でも、それは一瞬のうちで。


奏の服の裾を掴んでる白い小さな手があった。


もしかして、と思ったときには、その女の子は後ろから俯いて顔を出した。