いつもなら家に来る奏は、どんな時だって私を起こしに来てくれた。
だから、その癖で寝てしまっていた。
お母さんが起こしに来たときだって、奏が来てくれたんだと思っていた。
だから、お母さんにその話をされて、聞き流したかったんだ。
そんなこともあり、
「遅刻なんて珍しいわね」
放課後、職員室でなっちゃんとお話中。
「昨日、遅くに寝てしまって……」
と言っても、昨日何時に寝たかなんて覚えていない。
「悪いけど、遅刻とかそういうのは罰があるようにしようって言うのが、うちのクラスだし……」
「大丈夫です……。やりますよ」
「って言ってもねえ。この重さじゃ……」
ドンっと机に置かれた、大きなダンボール。
「教室までなんだけど、う〜ん。……あっ、そうだ」
「?」
「浅海くんにも手伝ってもらいなさい! 仲いいんだから、ねっ?」
また、奏だ……。
「いえ、私1人で大丈夫ですので……」
よいしょっ、と持ち上げたダンボール。
おもっ……。


