え……。


「…なっ、なんで」


「“栗川”と帰ることになってさ、」


なに、それ……。



「いやー、あの後しばらく話して、まあ初めて話したんだけど、


ついつい“一緒に帰ってやる”とか、かっこいいこと……」



ベラベラ笑いながら話す奏の声は、もう耳にさえ入ってこなかった。



名前の聞いたことのない私にだって


“栗川”さんが誰なのか、すぐにわかった。