チャイムが鳴ると、みんな教室へ入る。
すると、女の人が入ってきて教卓の前に立つ。
あ、よく見ると“なっちゃん”だ!
「えー、初めましての人も、『うわ、またかよ…』って人も、B組の担任になった、永浜(ナカハマ)です。気軽になっちゃんって呼んでくださいね」
「おお〜、なっちゃん!」
「コラ! 慣れ慣れしいわよ!」
「ええっ!?」
1人の男子が呼び方を否定され、笑いに包まれたクラス
一気に明るくなったなあ。
ちなみに、私と奏は1年生のときも、なっちゃんだった。
だから、またなっちゃんで少し安心した。
「えーっと、ではまず出席からねー……浅海くん」
「「「…………」」」
シーン、となる教室。
「え? いきなりいないの!?」
なっちゃんの声に、
「さっき、女の子とどこか行きました〜」
またもや男子が、そんなことを言う。
「ええっ!? そうなの!?」
信じ切ってるなっちゃん。
違う、違うよ…。
奏はそんなことしない。
誤解されてるのがイヤで、私はイスから立ち上がった。
「…あ、の」
「あら、春野さんじゃない。どうしたの?」
「かな……。浅海くんは、具合悪そうな女の子がいたので、一緒に送ってあげたみたいです!」
視線が、痛いな…もう。
「そうなの? まあ、浅海くんは優しいものね」
「は、い……」
俯きながら、その場にまた座った。


