「よし、金持ちそうなイケメンを引っかけてこい」

「はい?」

「貧乏人じゃどうにもならんだろうが。
 あと、イケメンじゃないと、お前は駄目だから」

「なんでですか?」

「俺が、お前との結婚を強引に押し切ったのは確かだ。

 だが、俺の顔が好みじゃなかったら、お前は受けていないと思う。
 どんなに周りからプッシュされても」

 ……なんだろう、この自惚れ。

 確かに、ルックスは素晴らしいと思うが、邪悪な顔つきをしているし、世の中にはもっと大事なものがあると思うのだが。どうだろうか。

 「さあ、行け」
 誰が引っかけてこい、とまだ夫であるはずの男にそそのかされ、エレベーターを指差された。