すさまじく嫌な予感がする、と秀行は思っていた。
学生時代に会社を立ち上げてから今まで、この神がかり的な勘に幾度も救われてきた。
……と自分では思っている。
だが、これを茅野に言うと、
『気のせいです』
と笑顔で言ってくるのだが。
茅野はいつもと違う雰囲気の服を別の部屋に隠して用意していたようだ。
あのとぼけた女に結婚詐欺が出来るとは思わないが、何処かに就職したというのは本当かもしれない。
人様に迷惑をかける前にやめさせなければ。
秀行はさりげなく茅野の実家に電話をかけたが、そこで茅野を雇っているような様子はなかった。
愛想よく茅野の父と話して電話を切る。
少し考え、パソコンを立ち上げた。
その画面を確認したあとで、内線で、奈良坂省吾を呼ぶ。
「省吾、すまないが、茅野を探してきてくれないか?」
は? と言う省吾に、秀行は画面を見ながら笑って言った。
「茅野はこのビルの中に居る――」



