私、今から詐欺師になります

「私が死にますっ」
と茅野は自分の喉元にナイフを向けた。

 秀行はひとつ溜息をつき、言う。

「今、俺に刃物を見せるな。
 お前を刺しそうだから」

「そんなもの持ってるのなら、なんで早くに出してこなかった」
と言われ、

「これは、今日帰る前に買って来たんですっ。
 いつものお店がまだ開いてたので、ちょっと覗いたら。

 いろいろあるのなら、これ持ってた方がいいよ、と店員さんが割引してくれて」
と言うと、

「肩にドリルの店員か?
 殺人幇助で訴えてやろうか、その店。

 っていうか、それ、売れ残ってたから買わされたんじゃないのか?」
と言われた。

「う……そうかもしれません」

 そういえば、半額だった、と軍用ナイフを見下ろし思う茅野に、秀行は切々と教え諭すように訴えてくる。