私、今から詐欺師になります

 



「ちょっとうちに寄ってけ」

 車に乗り、やっぱり、風が吹かないとあったかいっ、と思いながら、手をこすり合わせていると、穂積がそう言ってきた。

「え、でも」
と振り返ったが、

「始めたことは最後までと言っただろ。
 いいから」
と言い、穂積は茅野をあの海沿いのマンションに連れていった。