私、今から詐欺師になります

「似てますね、物真似」
と笑ったあとで、省吾は、

「そりゃ、社長が虐めるからですよ。
 車椅子押してもらって、ちょっと揺れたからって、文句言うのもどうかと思いますね」
と意見してくる。

「あいつ、外の世界に出て、男にちやほやされるようになってから、調子に乗ってるに違いない。
 もっと締め上げてやらないと」

「……そういうこと言ってるから、穂積さんの方がよく見えちゃうんじゃないですかね?」

「お前まで……。

 っていうか、なにさらっと、穂積さんとか言ってんだっ」

 すみません、とたいしてすまなくもなさそうに省吾を頭を掻く。

「玲さんが穂積、穂積って言うから、つい移っちゃって」

 その呑気な口調にムカついた。

「なにが穂積さんだ。
 お前、まだあのオカマと会ってんのか」