私、今から詐欺師になります

「玲司だってば。

 おはよう。
 もうすぐ昼だけどー」
と玲は軽く手を挙げて先に降りる。

 ……この間まで女だったとは思えない男前っぷりだ。

 玲が歩くと、その優雅さも相まって、女性の視線がみんなそちらに動く。

 長年女をやっていたから、どうやったら、女性受けがいいかわかって動いているのだろうかな? と思う。

 まあ、わかったところで、俺には出来ないし、茅野以外の誰にも注目されなくていいのだが。

 茅野も玲を見て格好いいとか思ったりするのだろうか、と女性たちの視線に少々不安になった。

 まあ、茅野は、男前は、茂野で見慣れているだろうが。

 俺は、仕事はともかく、あんまり、そういう方面では自信がないからな、と有村と省吾が聞いたら、真後ろからどついて来そうなことを穂積は思っていた。