「それ、よく効くよね。
すごい匂いがするけど」
と笑ったあとで、
「どうすんの、おにいちゃん」
と呼びかける。
「茅野ちゃんは人がいいからねえ。
弱ったところを見せる茂野を見捨てては来られないかもしれないね。
一日で退院できるような病気であれだよ?
精神的にまいってるところなんて見せられたら、一撃だろうね」
本気の忠告のような。
あっさり茅野に愛された穂積に対する嫌味のような。
自分でもよくわからなかった。
「一度始めたことは最後までやれ、か。
いい言葉だね」
穂積が飴から顔を上げる。
「僕も一度始めた女装をやめるべきじゃなかったな」
と言うと、そりゃ違うだろうという顔をする。
「……自分の気持ちにも気づかないまま、あのまま女で居た方がよかったんだよ」
穂積が自分を見た。
「じゃあねー。
今日は十時から出かけるから、それまでに仕事上げといてねー」
と言って、社長室を出て行く。
すごい匂いがするけど」
と笑ったあとで、
「どうすんの、おにいちゃん」
と呼びかける。
「茅野ちゃんは人がいいからねえ。
弱ったところを見せる茂野を見捨てては来られないかもしれないね。
一日で退院できるような病気であれだよ?
精神的にまいってるところなんて見せられたら、一撃だろうね」
本気の忠告のような。
あっさり茅野に愛された穂積に対する嫌味のような。
自分でもよくわからなかった。
「一度始めたことは最後までやれ、か。
いい言葉だね」
穂積が飴から顔を上げる。
「僕も一度始めた女装をやめるべきじゃなかったな」
と言うと、そりゃ違うだろうという顔をする。
「……自分の気持ちにも気づかないまま、あのまま女で居た方がよかったんだよ」
穂積が自分を見た。
「じゃあねー。
今日は十時から出かけるから、それまでに仕事上げといてねー」
と言って、社長室を出て行く。



