飛んだりとかした方が出るんだったかな、と思ったとき、秀行がキスしてきた。

 そのまま、抱き締めてくる。

「愛してる、茅野。
 お前は一生俺のものだ。

 ……まあ、逃げようったって、逃がさないけどな」
と言い、高笑いを始める。

 ぼんやりしたまま、秀行に抱きしめられ、茅野は思っていた。

 いつも思うんだが、この人、常に一言多いんだよな。

 前半で止めておけば、そう好感度も下がらないのに。

 本当に不器用な人だ。

 やれやれ、と立ち上がった茅野はベッドを降りると、
「おやすみなさい」
と深々と頭を下げる。

「こっちで寝ないのか」

「だから、看護師さん来たらびっくりしますってば。
 秀行さんも早く寝たほうがいいですよ」

 おやすみなさい、とスリッパを引きずるようにして、なんとかソファに戻り、側にあった毛布をかけると、すぐさま目を閉じた。