私、今から詐欺師になります

 



『お前はきっと、茂野とは別れられないな』

 夜、そんな穂積の言葉を思い出しながら、茅野はソファでうとうととしていた。

 誰かが自分を抱き上げる。

 秀行のようだった。

 そのまま、ベッドに寝かせてくれる。

 秀行がソファの方に行こうとするので、少し目をこじ開け言った。

「秀行さん、病人がベッドに寝てないと、看護師さんにびっくりされますよ」

 戻ってきた秀行は、
「じゃあ、一緒に寝るか」
と言って、ベッドに腰掛け、茅野の髪を撫でてくる。

「余計びっくりされちゃいますよ」
と半分寝ぼけたまま、茅野は笑った。

 そんなに看病した覚えもないが、慣れない病院で疲れたのだろうか。

 こじ開けないと、目が開けられない。

 うーん、と頑張って起き上がった茅野は、
「早く寝てください。
 安静にしてないと、石が出ちゃいますよ」
とつい言ってしまい、

「……出ていいんだろうが」
と言われてしまった。

 ああ、そうだった。
 普通は安静にしてないといけないから、と苦笑いする。