私、今から詐欺師になります

 何故、必ず、霊が出るていで話が進んでいるのかわからないが、看護師が笑って、
「大丈夫ですよ。
 今のとこ、私、この部屋では見たことないですから」
と言ってくる。

 他はっ? と秀行と二人、振り返ってしまった。

 秀行が穂積に言う。

「だいたいお前、風邪ひいてるだろ。
 弱ってる俺に移して殺す気かっ」

 よく穂積さんが風邪ひいているとわかったな、と思った。

 此処に入ってから、少し声はおかしいが、咳き込んではいないのに。

「ついでに診てもらって、さっさと帰れっ」

 微妙に親切だ。
 一応、感謝してるのだろうかな。

 こう見えて寂しがりだからな、と思いながら、
「じゃあ、荷物取りに帰りますから、いるものがあったら、連絡してください。
 いい子で寝ててくださいよ」
と言うと、

「穂積っ。
 俺の家で茅野に手を出すなよっ。

 人が弱いときにつけ込むような人でなしは、裁判所に訴えてやるからなっ」
とわめいていた。