私、今から詐欺師になります

「着替えと印鑑とか取りにいってきます。
 書類に必要なので。

 少し寝ててください」

 ちょうど、失礼します、と看護師が点滴を見に来たので、入り口に居た穂積も中に入ってきた。

 ちらと秀行はそちらを見たが、居るのはわかっていたようで、なにも言わなかった。

「荷物を取りに行くのなら、お前のも取ってこいよ」
と秀行は茅野に言う。

「えっ。
 私も、此処に泊まるんですか?」

「嫌なのか」

「だって、病院怖いですー」
と言いながらも、まあ、夜、ひとりにしとくのも可哀想か、と思っていたのだが、点滴を換えながら、笑顔で看護師が言ってきた。

「此処、完全看護なので、基本、泊まれないことになってるんですよ」

 だが、秀行はすぐさま、反論する。

「じゃあ、なんのための広い部屋だ。
 基本ってことは例外があるんだろ」

「も~、駄々こねないでください」
と言うと、

「だって、お前ひとりで帰したら、そいつと浮気するだろ」
と穂積を見て言い出した。

「ええっ?
 しませんよっ」

「俺が居ないから、これ幸いと思ってするに決まってるっ」