私、今から詐欺師になります

 



 病院に駆けつけた茅野たちは、すぐに受付で、秀行が何処に居るかを訊いた。

 廊下を曲がると、ちょうど処置室のようなところから、車椅子に乗せられた秀行が出て来るところだった。

「茅野」
と見たあとで、穂積に気づき、

「なんでお前まで居るっ」
と怒鳴ってくる。

「乗せてきたんだ。
 ひとりじゃ、心細いだろ。

 茅野もお前も。

 早く連れてきた方がいいかと思って」
と言う穂積に、

「なにをしゃあしゃあとっ」
と言い返したあとで、秀行は顔をしかめた。

「だ、大丈夫ですか? 秀行さんっ」
とその手に触れると払われる。

 俯いたまま、目だけをこちらに向け、怨霊のような顔で睨んでくる。

「茅野~」

「なっ、なんですかっ。
 なにか私のせいとかっ?

 石が出来たの、食生活がまずかったからとかっ?」