私、今から詐欺師になります

「お前をだよ。
 DVとか、強姦とか、人身売買とかで」

「……お前、実は茅野と発想似てるな」

「じゃあ、俺が女だったら、好きになったか」
と言ってやると、ドアに背を預け立っていた、女装していない玲を見た後で、

「お前はゴツくて無理だ」
と言ってくる。

 ……真剣に考えるな。

 恐らく、女装したときの玲を思い出し、自分が女装したら、どんな感じかリアルに想像してみたのだろう。

 変なところで生真面目な奴だ、と思ったとき、玲が後ろを見た。

 見ると、玲が寄りかかっていたドアが外から押されたように少し開いている。

 下から、茅野、有村、八重島と縦に並んで、覗いていた。

 ……トーテムポールか。

 溜息をついて、
「茅野、来い」
と言う。

「そこの阿呆どもは仕事しろ」
と言うと、有村たちは、ええーっ? 俺らも見たいんですけどーっ、という顔をしたが、

「はーい」
と渋々、引き上げて行った。

 茅野の姿を見た秀行はいきなり説教を始める。

「茅野、いつまで此処に居るつもりだ。
 家に帰れ」