普通に二人で食事をして、そのあと、またあの海岸沿いの道を歩く。
「まるでデートみたいですね」
と笑うと、
「……だから、デートじゃないのか」
と穂積は言ってくる。
そうなんですかね、と茅野は赤くなり、俯いた。
「二人で会って、食事して、海を見ながら歩いたら、デートじゃないのか」
まあ、俺もよくは知らないが、と穂積は言う。
「したことないからな、デートとか」
いや、そんな莫迦な、と思いながらもちょっと嬉しい。
「でも、これが結婚詐欺じゃなくて、浮気なら、やっぱり、いけないことなんだと思います」
そう言っている途中で穂積が、
「いや、詐欺だろう」
と言い出した。
以前、ご自分で浮気だとおっしゃった気がするのですが、と思ったのだが、穂積は、
「その気もないのに、食事代を払わせてるだけでも、充分詐欺だろ」
と言う。
「あの、その気ってなんの気ですか?」
と穂積を見上げ訊いてみたのだが、何故か、
「……お前、声かけたのが俺でよかったな」
と言われる。



