私、今から詐欺師になります

「はい。
 あのですね。

 ちょっと私と結婚していただけないかと思いまして」

 いや、頭おかしいと思われるだろ、これ、と冷静な自分が思っていた。

 だが、言ってしまった以上、仕方がない。

 もう最後まで貫くことにした。

「あの、何処のどなたか存じませんが。
 私と結婚していただけないでしょうか?」

 とりあえず、いい加減な気持ちで言っているのではないと証明するように、彼の瞳を見つめてみた。

 わあ、なんかすごく理知的な眼だな、と途中から本気で見つめてしまう。

 すると、幻聴が聞こえた。

「……はい」

 え?
 はい?

「あ、あのっ。
 はいってどういう意味ですか?」

 思わず、身を乗り出し、訊き返してしまうと、男は、
「いや、あんたこそ、どういうつもりなんだ……」
と言ってきた。