「声、可愛い!」
「アニメにあんな声出す女の子いるよねー」
「もしかして軽くぶりっ子してんのかなー」
「野山のドスの効いた声とは大違い」「うっさい」
ヒソヒソ声がたくさん聞こえてくる。
一瞬で顔が真っ赤になる。
「ありがとう。じゃあ西野さんの席は一番後ろの中山くんの隣ね」
先生はやっと私を席まで案内してくれた。
席に着くと隣の男子と目が合った。
こういうとき、ドラマの世界なら声かけるよね。
「よ、よろしくね」
私は目立たないように小さな声で声をかけた。
けど返事は返ってこなくて、ふいっと視線を逸らされてしまった。

