転校初日。


「西野さん、緊張しなくて大丈夫よ。ちょっと待っててね」



担任の先生はそう言うと教室の中に入っていった。



緊張しないで、なんて無理な話だ。
学校に着いたときからドキドキが止まらない。


教室の前で待たされるっていうのがまた、緊張を煽る。






とりあえず、変な声って思われないように低い声出す練習しとこ。


「…あー、あー」


自分の中で精一杯低い声を小さく出してみる。でも自分で聞いても低いと思えない。


はぁ、とため息を吐くと、目の前の扉がガラッと開き、先生が手招きをした。