わたしの声が生まれた日

ガタッ


と音ともに中山くんが席を立つ。


あ、帰ってしまう…。


ここは思い切って



「中山くん!」


…緊張し過ぎて想像以上に大きな声が出てしまった。


中山くんだけじゃなくて教室に残ってた数人もわたしに視線を向ける。

ノートを返すだけなのに地味に目立ってしまった。




「………何?」


怪訝な顔をしてわたしを見る中山くん。帰ろうとしてたのに迷惑だったかな…。


「あの、さっき借りたノートを返したくて…ありがとうございます、とっても、とっても!助かりました」



ぺこりとお辞儀してノートを差し出すと


中山くんがフフッと小さく笑ったのがわかった。