わたしの声が生まれた日




「いいから、受け取って」


そう言うと、中山くんはまた机に顔を伏せてしまった。



「あ、ありがとう」


睡眠の邪魔をしないように小さな声でお礼を言って残り少ない昼休み、中山くんのノートを頭に叩き入れようと気合いを入れた。




中山くんノートはとてもわかりやすかった。


普段、テスト直前に出題範囲を丸暗記して、テストが終わった瞬間に忘れてしまう、あまり意味のない勉強をしているわたしでもこのノートはすんなり頭に入ってくる。


答えだけじゃなくて、答えが導かれる過程がしっかり書かれているからかな。