わたしの声が生まれた日

「花音、私もう無理ー。一番苦手な分野なのにノー勉なんて」


「私もよー」


なんて花音は言うけど、花音は学年で五本の指に入る成績だから本当は余裕なんだろうなー。



なす術なく、教科書をパラパラめくりながら、花音に小テストの愚痴を零していると隣の中山くんがムクッと机から顔を上げたのが気配でわかった。




「おまえら、うるさい」





低い声が聞こえ、恐る恐る隣を見ると中山くんとまた目が合ってしまった。



その目はギロッと私たちを睨んでいるようにしか見えない。



「…ご、ごご、ごめんなさい!」