「私、今高2だよ!小学生じゃないんだよ!こんな時期に転校なんてしたら目立つに決まってるじゃん…ただでさえこんな声なのに…」
そう。私の声は変、なんだ。
俗に言う、アニメ声ってやつ。
「大丈夫よ、目立つのなんて一瞬よ。それに、莉子の声、可愛いじゃない!お母さんは好きよ」
普通の声をもって生まれたお母さんにはわからないだろう、アニメ声で生まれた私の苦しみ。
確かにこのアニメ声を可愛いって言ってくれる人もいる。でも、違うんだ、違うんだよ。
苦しいの、私は。
「とにかく、家族はみんなで一緒にいるのが一番なの!」
お母さんの一言で転校は決定打になり、私は憂鬱な夏休みを過ごすことになった。

