転校から一週間がたった。


「莉子、おはよう」


「花音、今日もギリギリだね」


前の席の女の子、花音とはお互い名前で呼び合うほど親しくなった。



「うーん、昨日も徹夜で映画を観てたら寝坊した」


花音は映画鑑賞が趣味らしく、家でDVDを見たり、一人で映画館に行くことも多いらしい。

一人で映画館なんて、私には考えられない世界。

でも、花音は一人で映画も美術館もアーティストのライヴも行けるらしい。

花音はどこか大人びている。
性格もさっぱりしているから、付き合いやすい。


「もー、ちゃんと寝ないといつも授業中、花音の首がカクカクしてるの丸見えなんだよ」



「はい、はーい」


私がこの教室で私らしくいられるのは花音のおかげ。