それは夏休みに入って10日ほど経ったある日のこと。



「転校!? 何いきなり!!」



「9月からお父さん、関東の部署に配属されることになったんだ。だからお母さんと莉子、莉奈も東京に…」


「なんでよ!お父さんだけ単身赴任すればいいじゃん!」



「こら、なんてこと言うの莉子!!」




お母さんは私の頭をペシッと叩く


けど!でも!



「おねーちゃーん、テンコーってなあに?」




年の離れた妹、莉奈は目をパチパチさせて私に聞いてくる。


「転校って言うのは今いる学校を離れて別の学校に行くこと。お父さん、お母さんの都合で、せっかくできた友達ともバイバイしないといけないの!」


「莉子!何もそこまで言わなくてもいいじゃない!」


お母さんは莉奈の頭を撫でながら、私を睨んでくるけどそんなこと関係ない。