「主、ただ今戻りました」
お店の裏にまわると同じデザインの家が背中合わせに建っていた。
ガチャン、と大きな音をさせながら鍵を開けると木造の古い木の匂いがする。
だが、アンティーク調の家の中からは何の返事もない。
「はぁ…」
ウサギが申し訳なさそうに私を仰ぎ見る。
「主は少し…シャイなお方なんです」
「そ、そうなんだ」
こんな綺麗な家に一人で住んでて、シャイとかなんの乙女ゲームの攻略対象かな?って思っちゃうよね。
「どうぞ、お上がりください」
「これは、靴のまま?」
「はい、あ、荷物は部屋にお届けするのでこちらに置いておいてください」
ウサギの10倍は重そうなスーツケースをどう運ぶのかと不思議に思ったが、そういえばここは魔法の国。私の常識は通用しないんだった…

