「私はそこから参りました」


「うん」


信じて、と言われなくても信じるに決まっている。

私が優しい純粋な乙女だから、と言うわけではない。


喋るウサギと空中浮遊している今この状況が全力で非現実を訴えてくるからだ。


神様はいないと思うし(困った時の神頼みはする)サンタさんも親の芝居だということもわかっている。


二十歳を目前にしてまさか異世界の存在を目の当たりにするとは、人生何があるかわからない。


「…信じていただけてよかった」


ウサギの表情の変化は人間の私には分からないが、声の調子が緩んだように感じた。


「可愛いなぁ、お前さん」


「この会話でどうしてそうなるのですか!!?」



モフモフとする小さな体に頬を寄せると嫌そうに見をよじった。