振り返ると、廊下の窓の外に倉田遊馬が立っていて、窓枠にもたれていた。彼は口にくわえたパックジュースのストローを上下に動かしながら、つまらなそうに言う。
「ずいぶん熱心に見つめてるじゃん」
「ちっ」
大きな声が出て、あわてて声をひそめる。
「ちがう」
「そうなの? このあいだ、校門のとこですげー奪い方されて軽くショックだったんだけど」
めずらしく眉を歪めながら、先輩は七都に視線を向ける。
「俺より背ぇでかいし、やたらと威圧感あるし、妙にコンプレックスを刺激してくれるんだよなーあいつ。って、うわっ、睨まれた」
小声で話していたつもりなのに、川崎七都はこちらに気づいていたらしい。視線だけで私たちを威圧すると、すぐに向き直った。
「うわ、こえー」
「先輩じゃなくて、私を睨んだんだよ」
七都のきれいな横顔を眺めながら、つぶやく。
「彼、私のことすごく嫌ってるから」
父親にのこのことついていった私が浅はかだったのだと、今になって思う。川崎七都からすれば、見ず知らずの異母兄妹の出現で、それまでの平穏な生活が一気に崩れ去ったのだ。恨まないほうがおかしい。
「じゃあ私、帰るから」
自分の教室に向かおうとしたとき、思いがけない声が耳に入った。
「そろそろはっきり言えば?」



