「な、な……」
唯一無事だったのはフォークに刺さったウインナーだけだ。無惨に散らばった食材を呆然と見つめていると、ふたたび頭上から声がした。
「すいませーん」
がさっと枝が揺れる音がして、今度はもっと大きな物が落ちてくる。
一瞬のできごとに、何が起きたのかわからなかった。どん、と地面が揺れたかと思うと、芝生の上に両手をついて人が着地している。
「な……」
開いた口が塞がらなかった。シャツの上にブルーのパーカーを羽織ったその男子生徒は、平然と立ち上がり、私の正面に立つ。オレンジに近い茶色の髪が日に透かされてますます明るく見えた。真面目な生徒が多いこの学校で、ここまで髪の色を染めている人はめずらしい。
「ごめん、怪我は?」
男子にしては小柄な人だ。目が大きくて女の子みたいにかわいい顔をしている。
私が首を振ると、彼はほっと表情を緩ませる。
「そっか、よかった」
「ていうか、あの、今」
この人、二階から落ちてこなかった?
私が口をぱくぱくさせていると、転がった靴を履きなおしていた彼がぎょっとしたように叫んだ。
「なんだこりゃ!」



