下着の線が透けていることに気づき、僕はあわてて目を逸らす。
「闘いって、いったい何との?」
僕の問いには答えず、彼女は立ち上がる。
よくよく考えてみると、彼女が出てきた小窓は女子トイレに通じているはずだった。嫌な予感がする。
「もしかして、いじめ、られてた?」
彼女は個室に閉じ込められ、上からホースで水をかぶせられたんじゃないだろうか。ドラマや漫画で見たことのある景色を、目の前の彼女に当てはめて考えていると、
「とんでもない! 闘いだって言ったでしょ」
彼女は僕の胸ぐらを掴むようにして立ち上がらせた。
「一対四で、少々分が悪かっただけよ」
つまり四人がかりでトイレに閉じ込められたってことじゃないのか? と思ったが、口にはできなかった。
僕はブレザーを脱ぎ、背中についた土を払う。
「とりあえず、これでも着て――」
「ユキハルくん! 今回は助かった。感謝します!」
威勢良く言って、彼女は校舎の向こうに歩いていく。ずんずんと足音を響かせそうなしっかりした足取りだった。僕のキザな行いには気づきもしない。
手に持っていたブレザーを、そのまま羽織る。
顔がやたらと熱い。ふきだまりに敷かれた桜のじゅうたんに、自分のカバンが転がっていた。
それからはっとした。
「なんで僕のこと、知ってるんだ……?」
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