低い声が鋭く放たれた。二階から下りてきた川崎七都が、寝癖頭を掻きながら面倒そうに食卓の椅子を引く。
「そんなやつが作ったもん、学校でまで食いたくない」
「ああ、そうよねえ。じゃああとで昼食代渡すわね」
対面に腰を下ろす理香子さんから視線を外し、彼はリモコンでテレビをつける。美味しいとも不味いとも言わず、目の前の料理を機械的に口に運んでいく。
私の食事は彼らとは別々で、いつも自室に持っていきひとりで食べている。私は極力理香子さんの視界に入らないように過ごさなければならないのだ。
私が川崎家の食卓に着けるのは月に一回、『父親』が単身赴任先から帰ってきた日だけだった。
つらいとは思わない。
どんな冷遇も、母の罪を思えばかわいいものだ。
川崎家において、私はあってはならない存在なのだから。



