さよなら、世界


 * * *
 
 私と川崎七都は血が繋がっている。

 一ヶ月前から住んでいる川崎家で、私の役割は主に食事の支度だ。川崎七都の母親である理香子さんが献立を決め、私はそれに従って買い物をし、朝晩の食卓をととのえる。

 川崎家のキッチンは広い。コンロは四口もあるしシンクも大きい。アパートの狭い台所で長年やりくりしてきた私には、ちょっとばかり広すぎる。

「朝食ができました」

 二階の川崎七都の部屋をノックしてキッチンに戻ると、一階の奥の部屋から理香子さんが姿を現した。パジャマ姿のままあくびをしながら、食卓を覗き込む。

 朝食は理香子さんの要望でパンになることが多い。今朝はソーセージのソテーにベーコンエッグにポテトサラダだ。

「七都の弁当は作ったのよね?」

 理香子さんの眉間に皺が刻まれる。私はあわててフライパンを火にかけた。

「い、いまから」

「いらねえよ」