華やかな音楽が鳴り響くホールで、壇上ではキラキラとライトを浴びながら笑顔の営業達。

 私は暗い客席で、彼等に拍手を送りながら痛い過去をまた思い出してしまった。

 あーあ、これが私の人生なのね。なんというか、いつでも脇役。結婚をしてやっとヒロインになったかと思ったら、それは4年で急な終わりを告げた。

 別に脇役でもいいのだ。その他1だって別に構わない。だけれども、今のこの長くて暗いトンネルのような状況からは一体いつになったら抜け出せることやら。

 惰性で拍手を繰り返しながら、後の時間をぼーっと過ごした。

 それでも少しは前進だと感じられることもあったのだ。

 あの昼食から、私はご飯がマトモに食べられるようにはなっていた。それはやっと実感出来る、一つのいい事だ。自分にとって。

 元々弱い朝はあまり詰め込まないようにしているけど、昼食と夕食は楽しめるようになった。どうでも良かったランチの店を選ぶようになったし、夕食はたまにアルコールもお供した。

 すると興味がなかったテレビの世界も面白みが湧いてきたから不思議だ。

 前よりは、ちょっとは笑うようになったのだ。きっと食べることでエネルギーが湧いたのだろう。

 頭は複雑でも体は単純でよかった。生物はこうして生きていくんだな。

 そして体には肉がつき始めた。まだふっくらとはいかないが、それでも頬がこけていて顔色が悪かった1週間前までよりかは遥かにマシな外見に。

 髪の毛にも艶が出てきたようだった。

 ビバ!栄養!