「た、高田さん!中で食べましょ?どうぞゆっくりしてくださっていいですから」

 会計窓口まで車を動かしながら、彼は大丈夫ですと言う。

「慣れてますから。移動しながらのご飯は普通です」

 ・・・そうですか。まあ考えたら、私なんか足元にも及ばない雲の上の成績を維持してらっしゃいますものね。いつでもバタバタとアポの合間を縫っての慌しい昼食なのだろう。

 私みたいに暇を持て余してゆっくりランチ選び、なんて過ごし方はしてないに違いない。

 商品を受け取る彼から、私持ちますと奪い取る。いつもなら空いている助手席に置くはずだし。

「本当によかったんですか、お店の中で食べないで?」

 今ならまだ間に合うぞ、と思いながら私は一応聞く。

 車を出しながら彼は前方を確認しつつ言った。

「――――――尾崎さん、俺と一緒にどこかへ入るの嫌でしょう。あなたがコンタクト買ってる間に食べますから大丈夫ですよ」

 ぐさ。

 あううっ・・・ちょっと、今の、悲しい発言だったわ~。心苦しい。確かに私はあなたと行動を共にするのを嫌がるけど、避けようと頑張ってきたけど、それを本人に言われると自分がすごく嫌な人間になった感じがして罪の意識を覚えるわ・・・。

 決して責めているような口調ではなかった。単に、自分でも判っている事実を言ったって感じだった。だけど私は心の中でひれ伏して今までの態度を謝罪した(口に出す勇気はなかった)。

「・・・別に嫌じゃないです・・・。折角仕事ないんでしたら、ご飯はゆっくり食べて下さい」

 つってももうテイクアウトしちゃってるけど、さ。