お酒が進んで、シュウたちともだいぶ打ち解けてきて、


「だけど、ヴォーカルのキリトさんて、なんかちょっとタイプが違いますよね…?」


と、シュウに話を振った。


「タイプが違うって? なに…キリトのことが、気になる感じ?」


シュウにそう訊かれて、顔を覗き込まれた。

「……気になるっていうか、」

残っていたグラスのビールを、ゴクリと流し込む。


「変わった人だから、興味がわくような…そんな感じですね…」


「ああー確かに、変わり者だよな、あいつは」


シュウの言葉に、横にいたカイがうなづく。


「変わってるよね、ホント。全然食事とかも、付き合ったりしないし。

僕なんか、キリトの連絡先だけ知らないし」


「俺も、」「知ってる人、いないんじゃない?」


シュウとエンジュがそろってうなづく。


誰も、連絡先も知らないんだ……と、ぼんやりと思う。

番組で歌っていた、キリトのあの艶っぽい眼差しが思い浮かんだ。


ちょっと興味はあるのに……彼のことだけは、いつまでたってもちっとも見えてはこなかった……。