番組では、イントロが過ぎ、ヴォーカルが歌い出す声が流れ出した。 声は、伸びがある上にどことなく色気すら感じさせるようで、甘く妖しい響きがあった。 「……いいかも」単純に、そう思った。 彼には、初対面で嫌な思いをさせられたけれど、バンドとしての実力は高いと感じられた。 事務所が推すのもわかるかも…… 私は、”Kir“というそのバンドに自然と惹きつけられて、じっと見入ったーー。