夢が打ち砕かれた未来に、なんの楽しみも感じない。


「このまま死んじゃったほうがいいのかなぁ・・・」



 ポツリと呟いた時、窓の外が急に明るくなった。



 風に吹かれた雲が流されて、満月が現れる。

 まん丸で、優しい光を放っている。



「きれい」


 涙を拭くのも忘れて見とれた。

 これから先も、こんな綺麗な月が見られたらいいのに。


 ううん、そうじゃない。

 “見られたら”じゃない。


「絶対に見たい」



 そう口に出して言ったら、なんだか気持ちがすごく楽になった。