目の前にチカがいる。


 手を伸ばしても逃げたりしない。

 抱きしめても消えたりしない。


 夢の中でしか会えなかったチカがここにいる。


 離れていた間に大人びたように見えるけど。

 泣き虫なところも、笑顔が魅力的なところも変わっていなかった。


 愛しいチカが、俺の腕の中にいる。


 
「チカ」

「アキ君」


 名前を呼べば、呼び返してくれる彼女の声。


 チカの声は、想像していた通りで。

 素直で明るい彼女の人柄がよく伝わってくる。


 そんなチカと築く家庭は、やっぱり明るく楽しいものになるだろう。


 それを思うと、少しでも早く日本に帰りたいと思う。