「だって、一日でも早く俺の研究の成果をチカちゃんに知って欲しいから」
 
 お兄ちゃんは『出来ることなら今すぐにでも』という勢いだ。


“それにしたって・・・”

 私はくすっと笑う。

“まぁ、いずれするなら早いうちがいいだろうけどね”

 
 怖いことは早く終わらせてしまいたい。

 それに、自分の声を聞いてみたい。


「じゃ、あさっては?」


“ふふっ、分かった。
 あさってね” 







 この後、手術についての話を聞いた。

 今回の手術は声帯を取り除いた時よりもちょっと大掛かりになる。


 正直怖い。

 それでも、お兄ちゃんがいてくれるから心強い。


 自分でも気がつかないうちに、私は自然とお兄ちゃんを頼りにしていた。


―――お兄ちゃんを選んだのは間違いじゃないんだ、きっと・・・。