言葉なんて必要ないと言った俺のほうが、言葉を求めていた。

―――なんで『愛してる』って言ってくれないんだ!!


 無意味な八つ当たりを自分の枕にぶつける。


 眠れなくて酒を飲み。

 行き場のない怒りとむなしさに襲われて、さらに酒におぼれていく。






 こんな毎日でも、仕事だけはきっちりこなす。


 フロントに立っていると、マネージャーが一人の女性を連れてきた。


「桜井君。
 新人の今井さんだ。
 彼女の指導係を頼む」


 その女性が俺の正面に立つ。

「今井 洋子と申します。
 どうぞよろしくお願いいたします」

 俺の1つ下だと言う今井さんは、はきはきと挨拶をしてくれた。


「桜井 晃です。
 こちらこそよろしく」

 手を差し出して軽く握手。